生物多様性ポテンシャルを評価しビオトープづくりを支援する実証【課題提示型プレスリリース】

 Hatch Technology NAGOYA 課題提示型支援事業の実証について、2月5日にプレスリリースを発出しましたので、お知らせします。

 近年、生物多様性保全に関する機運が高まっており、本市のような都市部において多様性保全を実現するには、限られた土地を有効活用して生物の生息に適した環境(ビオトープなど)を創出していくことが重要です。

 本実証では、土地の湿潤度や緑被地、土地利用履歴などの様々な地形データ(GIS)をベースに、土壌の微生物 DNA 解析結果と生物の専門家の知見を組み合わせることで、ビオトープを作るのに適したエリアを予測できる”生物多様性ポテンシャルマップ名古屋版”を作成しました。今回作成したマップは従来技術と比較し格段に解像度が高く、ピンポイントで生息適地(ホットスポット)を絞り込むことができます。予測されたホットスポットにおいて、簡単なビオトープ整備を実施するなど、マップの有用性の検証も行いました。

 今回は作成したポテンシャルマップや微生物 DNA 解析など、生物多様性保全に活用できる先進技術の説明と、環境保全団体に使ってもらった感想などを聞く機会を設けました。

2.実施者

(1) 実証事業者 サンリット・シードリングス株式会社
(2) 市担当部署 環境局 なごや生物多様性センター

3.今回の社会実証のポイント

4.実証で活用する技術の概要・例示

 サンリット・シードリングス株式会社は、「生態系の可視化技術」をコアテクノロジーとして有し、生物の住む環境と密接に関係する、農林水産業、インフラ、再生エネルギーの産業分野への技術導入事業を中心に活動を行っています。

(1) 生態系の可視化技術① 生息地のポテンシャルマップ

 2010年代の地形情報を基にした地形的湿潤度指数(TWI)、2020年の名古屋市の緑被地、1977年から2016年までの土地利用の変化の有無等、過去から現在に至るまでの地形データや環境を構成する様々なデータから生息適地を評価する技術です。30 mメッシュの高解像度で作成されており、ピンポイントで生息適地を絞り込むことができます。

名古屋市の生物多様性ポテンシャルマップ(オレンジ色のエリアが生息適地)

(2) 生態系の可視化技術② 生息地環境のDNA解析

 対象とする生息地等で現地の環境調査を実施した上で、水や土から収集した微生物をDNA解析し、生物種の多様性に関する膨大な情報を取得します。その上で、生態学・統計学・微生物学等を融合した分析を実施し、生態系の状態を診断するとともに、適切な管理を行うための管理手法を提案する技術です。
 下記はサンプル中にどのような微生物が存在しているか、色分けして割合を示した図(上)とそれらサンプルの同士の微生物の違いを平面上の距離で示した図(下)です。微生物の種類の数が多く、バランスよく存在しているサンプルが、生物多様性のためによいものとされています。

微生物の出現頻度とサンプル間の微生物の違い

5.実証事業者について

サンリット・シードリングス株式会社
代表取締役 石川奏太
設立 令和2年1月15日
本社所在地 京都市左京区吉田上阿達町17番地 Lab Tech 3F
URL  https://www.sunlitseedlings.com/