Hatch Meets「音声認識と大規模言語モデルを用いた議論構造化システム」の実証実験

実証事業者:

ハイラブル株式会社

名古屋工業大学白松研究室

フィールド提供者:

総務局大都市・広域行政推進室

(公民連携に係る取り組み状況に関する情報共有の場)

プロジェクト概要

近年発展の目覚ましい大規模言語モデルと音環境分析技術を用いた議論構造化システムの実証を行います。 

OpenAIの大規模言語モデルGPT-4と、ハイラブル株式会社が有する音環境分析技術を組み合わせ、リアルタイムで、付箋に書き起こすように議論の構造を可視化します。これにより、議論参加者による記録や整理が不要となるほか、議論の終了後にも結論に至った経緯を追いかけることができ、議論内容の分析や理解に役立ちます。さらに、新たな観点をGPT-4に発言させることで、議論の幅を拡げようという支援も試みました。

プロジェクトの目的

今回の実証を通じて精度を向上させ、将来的には、多様な参加者同士の効果的な合意形成を支援することを目指します。

実証実験の詳細

議論の場に発話者を判断できるマイクレコーダーを設置し、冗長な音声認識結果を簡潔に言い換えたテキストとしてオンラインホワイトボードツール「miro」上に表示します。

表示されたテキストは、短いテキスト同士の関係(「背景付与」「状況」「具体論」など)を示す矢印で繋がれて構造化されることで、議論内容を付箋に書き起こす感覚でリアルタイムで可視化されます。

さらに、その場にはいないステークホルダーをAI(GPT-4)に演じさせる機能も試作しました。新たな観点を含む意見をAIに発言させたり、参加者のアイデアを評価させました。参加者はmiro上に表示された議論の構造やAIの意見を参考にして、更に議論を発展させました。

実証実験の成果

システムの性能を評価するため、7段階のアンケート(1が最低評価、7が最高評価)を取り、23名の参加者から回答を得ました。5以上の高評価は、「手書きの付箋代わりになりそうか」で72.8%、「全体共有に役立ったか」で81.8%、「AIの意見は議論を促進したか」で81.8%となり、有用性を確認しました。

その一方で「言い換えの修正の必要性」については3以下の低評価が54.5%となったため、音声認識誤りへの対処が必要であることが分かりました。