本市の教育委員会では「なごや子ども応援委員会」を設置し、すべての中学校にスクールカウンセラー(以下、SC)を常勤で配置するなど、全国でも類を見ない手厚い支援体制を構築しています。しかし、どれだけ体制を整えても、自ら面談に来ることができない子どもたちへは手が届きにくいという課題がありました。事態が重篤化してから初めて悩みに気づくケースもあり、SCにつながる前の段階で悩む子どもたちを早く見つけ、支援につなぐための新たなアプローチが求められていました。
こうした課題を解決するため、教育委員会事務局子ども応援課と株式会社ZIAIが連携し、実証プロジェクト「子どもたちの悩みを早期発見・早期対応したい!」を進行しています。
※これまでの本プロジェクトの活動については、以下の記事をご覧ください。
名古屋市内の小中高校で実証プロジェクトを開始しました【活動報告】
実証開始までの道のり【活動報告】
本取り組みの進捗や中間成果をご報告するため、2026年2月17日に名古屋市教育センターにてメディア向け説明会を開催しました。

傾聴AIを活用した実証の具体的内容
今回の実証事業では、株式会社ZIAIが提供する「傾聴AI(相手の話に共感し、深く耳を傾けることに特化した人工知能)」を活用しています。市内21校(小学校、中学校、高等学校)を対象に実施しており、子どもたちはGIGAスクール構想(全国の児童生徒に1人1台の学習用端末を整備する国の取り組み)で配布されたタブレットや自身のスマートフォンから、QRコードを読み込むことで24時間365日いつでもAIに相談することができます。
このAIは、無理に解決策を提示するのではなく、子どもの気持ちに寄り添うことに特化しています。AIとの対話を通じて自身の気持ちを整理し、心の準備が整った段階で、システム上から自身の名前等を入力することで、希望する学校のスクールカウンセラー等の専門家へ実際の面談を依頼できる「コーディネーション機能」を備えているのが最大の特徴です。また、他人に相談履歴を見られる不安や、過去のつらい記憶がフラッシュバックするのを防ぐため、チャットの履歴は即座に削除され、後に残らない仕様へと名古屋市独自のカスタマイズを行いました。
実証データと関係者の声
説明会では、2025年12月4日から2026年1月31日までのデータ(個人は特定されない統計データ)を共有しました。
平日の夜間(17時以降)や土日など、これまでスクールカウンセラーに相談できなかった時間帯での利用が少なからず見られました。また、利用者の約7割が「これまで誰にも相談したことがない(今回が初めて)」と回答しており、潜在的な悩みの掘り起こしに寄与しています。実証実験期間中に、AIでの相談をきっかけとして実際に大人への相談・連携(コーディネーション)に至ったケースが4件ありました。

株式会社ZIAIの櫻井さんは、「AIに留まらず、最終的に人へつなぐことが実証として検証できている」と手応えを語りました。また、教育委員会の担当者からは、「AIとの相談を通じて、子ども自身が悩みに気づき、自分の気持ちをうまく伝える経験を積む効果も狙っている」と語りました。

本プロジェクトは2月末までデータの収集と分析を行い、アンケート結果等も踏まえた多角的な評価を実施します。最終的な成果につきましては、2026年3月23日に開催予定の「成果発表会」にて発表する予定です。
本年度の成果発表会を開催します
名古屋市内で行われた先進技術実証プロジェクトを、教育、まちづくり、ヘルスケア、公共インフラ、市民サービスの5つのテーマに分けて発表します。また会場には、各社の開発した技術を展示するブースもご用意しています。ぜひ会場でご参加ください。
Hatch Technology NAGOYAを知らない方も、過去に参加した方も、お気軽にご参加ください。交流のお時間も用意していますので、実証企業の方々ともお話しいただけます。
ご参加をお待ちしております。



