Hatch Technology NAGOYA 課題提示型支援事業で進行中の、名古屋市防災危機管理局 防災企画課と株式会社ビーライズによる実証プロジェクト「メタバース技術を活用し、効果的な防災啓発を実現!」。 前回は、「港防災センター」への視察とシナリオ設計の検討会の様子をお伝えしました。
※前回の記事はこちら 港防災センターを視察、シナリオ検討会を行いました【活動報告】
今回は、このプロジェクトで開発中の防災啓発ゲーム(テストバージョン)を、約40名の子どもたちに体験してもらいました。その「体験会」の様子をレポートします。
楽しみながら学ぶ・体験する「共助」
2025年12月20日、名古屋市港防災センターにて、小学4年生から中学生を中心とした子どもたちを対象に、防災啓発ゲーム「対話で進める避難所サバイバルRPG シェルタークエスト」(※イベント当時は旧ゲーム名「避難所クロニクル」)のテストプレイ・体験会を開催しました。世界的なゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」を活用したメタバース空間と、手元の「カード」やリアルの「対話」を組み合わせた、ワークショップ形式のゲームです。

体験会はまず、名古屋市が制作した防災啓発動画を全員で視聴し、防災の必要性を学ぶことからスタート。その後、一人ずつ端末(スマートフォンやタブレット)を手に取り、グループに分かれてゲームの舞台となる「災害発生後の避難所(体育館)」のメタバース空間へ入りました。最初は操作に戸惑う様子も見られましたが、子どもたちはすぐに操作に慣れ、メタバース空間の探索を楽しみ始めました。
このゲームは、①メタバース空間上での探索と、②現実世界でのリアルな対話を組み合わせたハイブリットな仕組みです。メタバース空間の避難所内では、「〇〇で困った」「〇〇で眠れない」といった、現実でも起こり得る困りごとが次々と発生。プレイヤーは手持ちの「キャラクターカード」に沿った役割でメタバース内を行動し、アイテムを集めます。たとえば、「泣いている赤ちゃんに飲ませるミルクを作るにはお湯が必要」「そのお湯を沸かすには〇〇と〇〇が必要」といった解決プロセスを導き出さなければなりません。

最初は個々バラバラに動いていた子どもたちも、各グループに配置された大人のファシリテーター(進行役)の問いかけをヒントに、次第にお互いの状況を共有し、解決策を話し合うようになります。「〇〇はどうやってゲットしたらいいのだろう」「△△って行っていたキャラがいたよ!」などの会話が聞こえ、ゲーム後半には、グループが一体となって困りごとの解決を目指す、まさに「共助」のシミュレーションが繰り広げられました。



ゲームの興奮が残る中、体験会の締めくくりとして防災士資格を持つアドバイザーである株式会社ビーライズの和泉さんから子どもたちへ、改めて「共助」の大切さを伝える時間が設けられました。ゲームでの体験を現実の防災行動へと結びつける温かく力強い言葉に、子どもたちは真剣な表情で頷き、遊びを通じて得た「助け合い」の感覚をしっかりと心に刻んでいる様子でした。

実証のゴールに向けて
体験会終了後のインタビューやアンケートでは、参加した子どもたちから「ゲームで避難所について学べるのがとても面白かったです」「避難所で避難をしたことがなかったので、今回の体験をして、普段からもっと備えようと思いました」といった熱量の高い声が多く寄せられました。「避難所ではみんなで助け合うことが大切だと思いましたか?」という設問に対しては、94%の子どもたちが「とても感じた」「感じた」と回答しました。一方、次のように「ゲームの楽しさ」のみに焦点を当てた意見も多く集まりました。
「みんなで協力して解決するのが楽しかった。今回は簡単だったので、次はもっと難しいクエスト(困りごと)にも挑戦してみたい」


体験会後すぐに、子どもたちのリアルな反応やアンケートの回答を共有し、参加したプロジェクトメンバー全員(企業・担当課・事務局)で振り返り会を行いました。今回の実証体験会では、前向きな反応や手応えが得られた一方で、子どもたちが目の前のゲームをクリアしてしまうことに夢中になり、学びや助け合いの要素を十分に届けきれていない可能性があることも明らかになりました。そこで、ゲームの楽しさを損なわずにこれらの要素をより効果的に伝えるため、メタバース空間の改善やゲーム進行の見直しなど、更なる工夫が必要だと提案されました。
本プロジェクトでは引き続き、子どもたちが「共助」を学ぶための取組みとして、防災啓発ゲームのブラッシュアップを進めていきます。

Hatch Technology NAGOYAのページでは、引き続き実証プロジェクトの成果を発信していきます。FacebookやXでも最新情報をお知らせしていますので、フォローをよろしくお願いします。



