実態を見ると大きな衝撃…食品ロスの現実
家庭から捨てられた手つかずの食品
まだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう「食品ロス」が世界的な問題になっています。日本における食品ロスは年間約472万トン(令和4年度)にも及び、この量は、国民全員が毎日、おにぎり1個を捨てている計算になります。日本は食料の約6割を輸入に頼っているにも関わらず、大量に食品を捨てているのが現実です。
食品ロスは廃棄物として一部を除き焼却処分され、その経費は税金で賄われています。また、焼却処理で排出される二酸化炭素は地球温暖化の原因にもなります。名古屋市でも食品ロスが発生しています。本課題の担当者は、市内の廃棄物組成調査に参加した際、捨てられた大量の食品を実際に目の当たりにして、衝撃を受けました。なかでも手付かずで捨てられた食品は、見た目が綺麗な食品もあり、非常に「もったいない」と感じました。
名古屋市第6次一般廃棄物処理基本計画
名古屋市では、令和6年3月に、市域内の一般廃棄物の処理について定める「第6次一般廃棄物処理基本計画」を策定しました。本計画では、持続可能な循環型都市の実現を目指し、「食品ロスの削減」を重点施策に位置づけ、本市における食品ロスの削減に向けて一層の取り組みを進めています。
食品ロス削減“事業者”からはじめる
実態調査の告知
実態調査の様子
食品ロスは、家庭だけでなく、生産・製造・流通・小売といったあらゆる段階で発生しています。とくに、スーパーなど小売においては、3分の1ルールなどの商慣習による返品や売れ残りなどが原因で多くの食品ロスが発生しています。
そこで名古屋市では令和6年度に小売店と協力して、商慣習の見直しのための実態調査を行いました。市内小売店で特定の品目を対象に販売期限を1日延長したら食品ロスにどれくらい影響があるのか検証を行ったところ、前年同月比で廃棄点数・廃棄重量が約50%削減するなど、大きな削減効果を確認できました。
さらなる食品ロスの削減に向けて
昨年度の実態調査を踏まえ、事業者からの食品ロス削減をさらに進めていくため、本実証では、小売店等との連携した新たな食品ロス削減の仕組み・取り組みを積極的に進めていきたいと考えています。また、消費者に身近な小売業者と連携することで、小売店等を利用する消費者に対する啓発につながると考えています。
具体的には、AIやデジタル技術を活用した需要予測や期限管理の高度化、販売期限延長に柔軟に対応できるシステム、インセンティブ付与による購買行動の促進など、企業の皆さんの最先端の技術や知識を存分に活かした取り組みを期待しています。企業の皆さん単独の提案だけでなく、企業様と小売事業者様での共同提案も積極的にお待ちしています!
実証実験がうまくいけば、市内の他の店舗や全国の小売店への展開へとつながる可能もあり、事業の成長機会が広がります。本実証では、企業様だけでなく小売事業者様との協業が鍵になると考えています。私たちと、食品ロスゼロを目指して一緒に挑戦してみませんか?