Hatch Technology NAGOYA

AIによる自動架電とデータ分析で納付率向上を実現。国保料の新しい納付促進アプローチ【実証レポート】

本市の国民健康保険料徴収業務においては、限られた職員リソースで複雑化する業務に対応し、低下傾向にある収納率を向上させることが急務となっています。特に日中の限られた時間内に職員が電話催告を行う従来の手法では、不在率の高さや多言語対応の難しさが大きな課題となっていました。

これらの課題を根本から解決するため、健康福祉局 保険年金課とUSEN&U-NEXT GROUPの株式会社TACTが連携して実証プロジェクトに取り組んでいます。本記事では、2月27日に実施したメディア向け説明会でお伝えした、本プロジェクト「国民健康保険料未納をゼロへ!革新的技術で支える安心社会」の様子と成果をレポートします。

AIとビッグデータの力で効率的なアプローチを

本プロジェクトで活用したのは、株式会社TACTが提供するボイスボット「AIコンシェルジュ」と、生成AIによる高度なビッグデータ解析を組み合わせたソリューションです。

単なる無作為な電話催告ではなく、過去の膨大な滞納データや架電履歴を分析することで、「つながる時間に、つながる言語でかける」効率的なアプローチへと転換を図りました。AIを活用して保険料の納期前から自動で早期勧奨を行うことで、払い忘れを防ぎ、納付率を底上げする仕組みを構築しました。

「ゴールデンタイム」の特定と行動を促すナッジ

本プロジェクトで最もこだわった核心部分は、生成AIを「専任のデータサイエンティスト」として活用し、対象者ごとの「ゴールデンタイム」を特定した点です。 分析の結果、全体傾向としての「朝(7〜9時)」という隠れたゴールデンタイムのほか、若年層・中年層には「夕方から夜間」、高齢者層には「日中」といった、電話が繋がりやすく話を聞いてもらいやすい最適な時間帯を導き出しました。この分析結果は架電スケジュールに直接反映させました。

また、単に電話で案内するだけでなく、行動経済学の「ナッジ(行動を促す仕組み)」を技術的に実装しました。通話内で「Webでの手続きを希望されますか?」とAIが問いかけ、承諾を得た直後にSMSで口座振替の申込フォームを自動送信します。市民の「納付しよう」という意思が冷める前に、その場でデジタル手続きへとシームレスに完結させる動線を実現しました。

言葉の壁を越えた架電テスト

2025年11月から2026年1月にかけて、国保への新規加入世帯等を対象に、AI自動架電による納付促進の実証実験を実施しました。

実際の架電では、AIが「〇〇様のお電話でお間違いないでしょうか?」と自然な肉声に近いトーンで語りかけ、市民の「はい」「いいえ」といった回答の文脈を解析して柔軟に切り返しを行います。 さらに、実証実験の後半では外国語を母語とする市民へのアプローチとして、未納世帯を対象に、英語、ベトナム語、そして「やさしい日本語」を用いた架電機能を開発・実装しました。

さらなる最適化へ向けて

実証実験を通して、非常に有意義な定量データを獲得しました。例えば、生成AIを活用した「ゴールデンタイム」の特定による架電時間帯の最適化によって、架電の完了数(AI自動架電の案内において最後まで案内に至った件数)が約1.2倍に増加しました。また、外国人未納世帯への架電においても、やさしい日本語で32.8%、ベトナム語で29.5%、英語で25.1%の納付アクションを引き出すなど、多言語対応の有効性も実証できました。

一方で、AIの案内を聞く前に留守番電話に接続されてしまうケースや、途中切断への対策など、完了率をさらに引き上げるための課題も明確になりました。

本年度の成果発表会を開催します

名古屋市内で行われた先進技術実証プロジェクトを、教育、まちづくり、ヘルスケア、公共インフラ、市民サービスの5つのテーマに分けて発表します。また会場には、各社の開発した技術を展示するブースもご用意しています。ぜひ会場でご参加ください。

Hatch Technology NAGOYAを知らない方も、過去に参加した方も、お気軽にご参加ください。交流のお時間も用意していますので、実証企業の方々ともお話しいただけます。

ご参加をお待ちしております。