
Hatch Technology NAGOYAの課題提示型支援事業では、現在8つの実証プロジェクトが進行中です。「美しい緑を未来へ!持続可能な芝生ソリューション」のプロジェクトでは、AIとAR(拡張現実)技術を活用し、ヒサヤオオドオリパークの「シバフヒロバ」の芝生の健康状態を可視化する『デジタル健康マップ』の開発に取り組み、芝生の健康を維持・向上させるための実証実験を行っています。
前回のレポートではプロジェクトの始動についてお伝えしましたが、今回はシステムの実用化に向けた次なるステップとして実施された、公園の芝生管理者との意見交換会の様子をお届けします。(※前回のレポートはこちら 芝生管理の「デジタル健康マップ」が始動【活動報告】)
芝生への負荷を可視化するプロトタイプを作成
プロジェクト始動後、開発を担うイクスアール株式会社によってカメラの映像の解析が進められました。今回の協議では、解析結果を使用して約3m四方の区画ごとに「人の踏圧(踏む圧力)」の影響度をヒートマップとして表示する「デジタル健康マップ」のプロトタイプが共有されました。システム画面上では、人が多く通行・滞在している場所が色分けされ、芝生への負荷状況が一目でわかる仕様となっています。


青い部分が踏圧の影響が低いエリア、赤い部分が影響が高いエリアを示している
現場のプロ・岩間造園との意見交換
次のステップとして、開発したシステムを実際の現場でどのように活用するか、そのイメージを具体化する必要があります。そのための意見交換会が実施され、プロジェクトメンバーの他、公園の芝生管理を担う岩間造園株式会社が参加しました。
開発中のプロトタイプを見ながら、「可視化されたデータを、実際の管理業務や公園運営にどう活かすか」をテーマに議論が行われました。
「芝生に蓄積されたダメージに対して、重点的な追肥や保護など、先手が打てる」、「芝生の長期的な管理計画に使えるのではないか」、「人の動線がわかるので、公園の設計そのものに活かせる」など、今後のプロジェクト推進に役立つ多くの活用案が共有され、大変有意義な時間となりました。
現場の知見でデータ「精度」の向上
システムの活用を実現するためには、データの正確性が大前提となります。
意見交換の中で、チームが当初想定していた「芝生に滞在する時間=負荷」という仮説に対し、現場からは全く異なる視点が提示されました。
「実は、重みのある荷重(テントのポールなど)よりも、人の動きによる『葉のすり切れ』のストレスの方が、芝生にとっては致命的なんです」(岩間造園株式会社)
特に、イベントなどで人々が回遊し、同じ場所を何度も踏みしめる行為が、最も深刻なダメージを与える要因だといいます。 この「現場の知見」を受け、即座に解析ロジックを修正。「通過(移動)」を検知した際のスコア係数を引き上げる調整を実施し、現場感覚に即したデータが出力されるよう改善を行いました。

今後に向けて
今回の意見交換を通じ、現場の声を取り入れることで、「デジタル健康マップ」の活用ビジョンが明確になってきました。この内容を踏まえて開発を進め、2026年2月には一般公開する場を設ける予定です。芝生の状況を可視化するデモンストレーションの実施や市民の方にもご覧いただく機会を作ることを検討しています。
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