2025年10月9日(木)、名古屋市立明治小学校3年生において、先進技術を使用した学習支援ツール「もじソナ」を使った自由進度学習の授業が行われました。本レポートでは、この授業の様子を報告します。
1. 背景
株式会社Nankaは読み書きに困難を抱える子どもたちへの負荷低減・学習支援の効率化を目指し、先進技術を使用した学習支援ツールである「もじソナ」アプリを開発しています。本ツールの有用性を検証するために、名古屋市立明治小学校と協力して実証実験を行いました。
【プロジェクト詳細はこちら(https://www.hatch-tech-nagoya.jp/field/field-project/field-project-5625/)】
2. 実証について
「もじソナ」は教材やプリントをタブレットで撮影することで、文字部分を認識し音声で読み上げます。また、解答欄に対して音声入力・フリック入力・手書き入力で解答することも可能です。
自由進度学習(子どもが自分自身で計画し、自分のペースで自主的に学習を進める方法)の授業で本ツールを活用してもらい、読み書きに困難を抱える子どもを含め、児童たちへの学習支援効果や支援の負担軽減を実証・評価します。
3. 実証の様子
実証当日は「もじソナ」にアクセスできるタブレット端末約10台を用意し、希望する子どもたちに申し出てもらいました。すると読み書き困難の子どもだけなく、読み書きに疲れを感じる子どもたち・日本語を母語としない子どもたちからも利用希望が続出し、順番待ちが出るほどでした。交替で使うなど工夫しながら、全児童の35%にあたる利用希望の子どもたち全員に提供することができました。
事前に教科書やワークのデータを取り込んである「もじソナ」端末を子どもたちは興味深そうに手に取っていました。マイク付きイヤフォンを用意したことで、子どもたちは周りを気にせず教科書や問題の読み上げを聞けるようになり、音声入力もできるようになりました。自分のペースで教材を読み上げさせたり、音声やフリック入力・手書き入力で答えを入力したりと、子どもたちは自由な使い方を試していました。

特に印象的だったのは、自由時間に子どもたちが自発的にアプリを起動し、「これ読んでみよう」「ここは自分の声で答えてみよう」と友達同士で教え合う姿が見られたことです。普段は読み書きに苦手意識をもっていた子どもが、代読・代筆を担う「もじソナ」を使うことで、物語の内容に関する質問ができるようになり、他の子どもたちと一緒に学びあえる様子が確認されました。

教師からも、「普段、読み書きが難しく学習意欲が低下していた子どもたちも、自ら進んで学習に取り組んでいた」「ツールを学習支援のためだけでなく、“学びを遊びの延長線上で体験できる道具”として活用していたのが印象的だった」との声が寄せられ、アプリの活用により、子どもたちが学習に前向きになる実証となりました。
今後も明治小学校にて継続的に実証を進めるとともに、子どもへのアンケート調査の実施や、保護者向け説明会の開催を予定しています。



