名古屋市が主催するHatch Technology NAGOYAの課題提示型支援事業では、現在8つの実証プロジェクトが進行中です。今回はその中から、「技術で実現!駅の案内、もっとスムーズに」の取り組みをお伝えします。
実証背景
名古屋市営地下鉄では、外国人観光客の増加や高齢化社会への対応により、駅の案内業務が多様化・複雑化しています。駅員の業務負担が増え、利用者をお待たせする場面も少なくありません。この課題を解決するため、名古屋市交通局駅務課とアクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター名古屋(以下アクセンチュア)が連携し、先進技術を活用した実証プロジェクト「技術で実現!駅の案内、もっとスムーズに」を開始しました。
本プロジェクトでは、AI対話型デジタル接客案内ロボットなどを導入。アクセンチュアが持つ生成AIのチューニング技術を活かし、駅員の知識やノウハウをAIに学習させることで、駅利用案内・観光案内・乗り換え案内・多言語対応など、幅広い問い合わせへの対応を目指します。
栄駅でロボットの試運転を実施
2025年9月18日、実証フィールドとなる名古屋市営地下鉄栄駅にて、ロボットの試運転を実施しました。

試運転では、混雑する駅構内で指定範囲をスムーズに走行できるか、駅特有の騒音環境下で利用者の声を正確に認識できるかなどを検証。点字ブロックの乗り越えや音声認識も問題なくクリアし、技術的な手応えを得ることができました。

一方、実際の現場にロボットを設置することで、実用化に向けた課題も明らかになりました。たとえば、利用者が気軽に話しかけられる工夫や、「名駅」など地元特有の言葉への対応など、利用者目線での改善点が議論されました。
また、AIの応答速度や回答精度をさらに向上させるため、より音声対話に特化した最新モデルを検討するなど、技術的な議論も深まりました。今回の試運転は、プロジェクトが次に進むべき道を明確に示す、非常に価値のある一歩となりました。

駅の新しいあり方を目指して
本プロジェクトの目標は、駅員の業務負担を軽減しながらも、駅利用者の満足度を向上させることです。ロボットが問い合わせ対応を担うことで、駅員が介助を必要とする方へのサポートなどの業務に集中できる体制の構築を目指します。
アクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター名古屋の山下さんは、次のように意気込みを語りました。
「私たちは顧客のミッション、ビジョンに向き合い、あらゆるテクノロジーを活用して顧客価値最大化を目指しています。今回は成長目覚ましい生成AI、ファミリーレストランなどで協働の進むロボット、この2つを組み合わせ、新たな価値提供に挑みます。まるで人間のようにスムーズな会話が出来、駅や観光・周辺情報など知識豊富な新人駅員ロボットを構築し、ご利用者様、駅員のみなさまのお役に立てるよう全力を尽くします。」
今後は、ロボットの本格的な手配やAIの学習データ準備、駅員への問い合わせ内容・件数の調査などを実施予定です。これらのデータを活用し、駅員への問い合わせ件数削減という明確な目標に向け、プロジェクトを推進していきます。
駅の新しいあり方を見据えたこのプロジェクトの進捗に、今後もぜひご注目ください。
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