Hatch Technology NAGOYA課題提示型支援事業においてスタートした8つの実証プロジェクトのうちの1つ、「接遇向上!職員と市民が笑顔になる先進技術を利用した窓口改革」について、進捗状況をご報告いたします。(プロジェクトの期間は来年2月まで。)
実証背景
近年、市民サービスの向上を目指す観点から、行政職員による窓口対応には、より質の高い接遇が求められています。一方で、窓口業務に従事する職員が、不当な要求や暴言などのカスタマーハラスメントに直面するリスクも高まっており、深刻な課題となっています。接遇の質が、時にこうしたハラスメント行為を誘発する一因となる可能性も指摘されており、接遇とハラスメントは密接に関連する課題として捉える必要があります。
千種保健センターは、市民の皆様が安心して各種手続きや相談ができる、地域に根差した温かい窓口を目指しています。しかしながら、窓口における職員の接遇の質にはばらつきが見られることから、市民の皆様に不快な思いをさせない窓口づくりとカスタマーハラスメント抑止のため、個々の職員に自身の接遇を見直す機会が必要です。
本プロジェクトでは、生成AI・感情解析・機械学習モデルを組み合わせた応対品質評価ツールを窓口に応用し、接遇の質を具体的かつ客観的に可視化することを試みます。また、行政窓口に適した評価項目を選定することで、職員一人ひとりが主体的に接遇スキルの向上に取り組める環境を整えます。接遇における意識改革を職員全体へ促すことで、市民にとって快適で満足度の高い窓口環境の提供を目指すとともに、職員が安心して働ける職場づくりの可能性を検証します。
千種保健センターの現地視察を実施
2025年9月に、実証事業者である株式会社スタジアムが千種保健センター保健管理課にて現地視察を実施しました。

まず、実証実験を予定している窓口の環境確認を行い、複数の窓口が並ぶ中で周囲の雑音を拾わずにAIが認識可能なレベルで会話を録音できるかを検証しました。市販の録音機材を用いて録音テストを実施し、技術的な課題の洗い出しを行いました。

また、市民満足度調査の一環として、窓口利用者が簡単にアンケートに回答できるタブレット端末を設置しました。接遇応対に対する満足度を直接収集することで、職員の意識向上と市民満足度の向上に役立てていきます。
今後の実証実験では、保健管理課の3つの窓口を対象に、個人情報を含まない形で一時保存された音声を分析し、接遇の客観的な評価を行う予定です。
株式会社スタジアムの吉田さんより、次のように意気込みを語っていただきました。
「この度の実証実験は、AIによる窓口応対分析というテクニカルな挑戦にとどまりません。市民・職員の皆様の心理的な安心・安全に配慮しながら、AI技術をどのように活かしていけるのか――。行政におけるAI活用の未来を見据えた、意義ある取り組みであると感じています。千種保健センター、名古屋市の皆様とともに、市民と行政が笑顔でつながる未来を実現し、全国の自治体に広がる新たなモデルを築いてまいります。」
今後も、千種保健センター保健管理課と株式会社スタジアムが連携し、課題解決に向けて取り組んでまいります。
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