近年、物価高騰や天候不順に伴う食材価格の変動が著しく、学校給食における献立価格の管理は一層困難になっています。
また、本市では約600種類以上のメニューを組み合わせて献立を作成していますが、市内を5つのブロックに分け、「揚げ物は週3回以内」「パンは配送の都合上1日2ブロックまで」といった複雑な制約ルールを満たしながら提供順を調整する必要があります。
これまで、この業務は熟練した栄養教諭が「紙を切り貼りするようなアナログなやり方」で長時間かけて行っており、多大な労力と精神的なストレスがかかるという課題がありました。
こうした課題を解決するため、教育委員会事務局学校保健課と株式会社システムサーバーが連携し、「野菜の価格予測」と「献立表カレンダー作成」のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む実証実験を行っています。(AIで価格予測!給食献立作成の負担を軽減)
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キックオフミーティングを実施しました【活動報告】
現場での試行錯誤が進んでいます【活動報告】
今回は、これまでのプロジェクトのまとめと、2月17日に開催されたメディア向け説明会の様子をレポートします。
AIと数理最適化を活用した、新しい学校給食管理のカタチ
今回のプロジェクトでは、テクノロジーを活用した2つのツールがシステムサーバーによって開発されました。
1つ目は「野菜の価格予測ツール」です。過去の卸売価格データや主要産地の気象データ(気温、降水量、日照時間など)を、ベイズ統計を用いた機械学習モデルに学習させ、給食で使用する野菜の4か月先の価格を予測します。
2つ目は「献立表カレンダー作成ツール」です。生成AIが日本語で書かれた複雑な制約ルールを読み取ってデータ化し、数理最適化の手法を用いて、膨大な組み合わせの中から全ての条件を満たす献立表を自動で生成します。従来は数日かかっていた作業を、わずか数分で処理できるようになるのが最大の特徴です。
予測の「根拠」を示し、人の意思決定を支える仕組み

2月17日、株式会社システムサーバーのオフィスにてメディア向け説明会を開催し、システムの実証結果や機能の詳細を解説しました。
野菜の価格予測ツールにおいて開発担当者が強調したのは、「単純に価格を予測するだけでなく、外部要因でどれぐらい価格に変動があったかを説明できる」という点です。システムは価格変動の要因を「長期トレンド」「季節の影響」「気象条件」の3つに分けて提示します。例えば、「北海道の気温の影響で、約30円分価格が押し上げられている」といった具体的な根拠がわかるため、価格高騰リスクを理由付きで把握でき、代替食材検討の判断材料として活用しやすくなっています。

また、献立表カレンダー作成ツールの開発では、11月の初期テストでは「条件をクリアできず献立に穴が開く」という失敗もありました。しかし、パズルのように1つずつ置いていく手法から、「CP-SAT」という全体を俯瞰して計算する新しい方式に変更したことで、見事に条件をクリアしたカレンダーが生成できるようになり、現場の先生方からも高い評価を得ています。

実証を経て見えてきた成果
実証実験の結果、主要な野菜であるニンジンとジャガイモにおいて、事前に提示される納入予定価格を上回る精度で価格予測ができるモデルが構築されました。また、献立作成においても、栄養教諭が手作業で行っていたチェック業務を自動化し、作業時間を削減できる見込みが立っています。
学校保健課の担当者は、今回の取り組みの意義について「教員の時間的な制約やストレスが少しでも緩和され、その時間を子どもたちへの食育指導などに活かしていきたい」と語り、働き方改革への期待を寄せています。

なお、本プロジェクトは以下のメディアにも掲載いただきました。あわせてご覧ください。
【中部経済新聞】システムサーバー 献立の価格予測を支援 名古屋市学校給食で AI活用しツール開発
本年度の成果発表会を開催します
名古屋市内で行われた先進技術実証プロジェクトを、教育、まちづくり、ヘルスケア、公共インフラ、市民サービスの5つのテーマに分けて発表します。また会場には、各社の開発した技術を展示するブースもご用意しています。ぜひ会場でご参加ください。
Hatch Technology NAGOYAを知らない方も、過去に参加した方も、お気軽にご参加ください。交流のお時間も用意していますので、実証企業の方々ともお話しいただけます。
ご参加をお待ちしております。



