Hatch Technology NAGOYA

AIで価格予測!給食献立作成の負担を軽減|現場での試行錯誤が進んでいます【活動報告】

Hatch Technology NAGOYA課題提示型支援事業では、現在8つの実証プロジェクトが進行中です。今回は、昨年9月にキックオフをお伝えした、教育委員会事務局学校保健課と株式会社システムサーバーによるプロジェクト「AIで価格予測!給食献立作成の負担を軽減」のその後の活動についてレポートします。

※前回の記事はこちら
キックオフミーティングを実施しました【活動報告】

現場の「声」と向き合う日々

本プロジェクトは、物価高騰や複雑な制約条件の中で、栄養バランスの取れた給食を子供たちに届け続けるために、「食材価格の予測」と「献立作成の自動化」に挑むものです。9月のキックオフ以降、開発チームであるシステムサーバーは、過去の膨大なデータの分析や、学校保健課との打ち合わせを重ねてきました。単にシステムを作るだけでなく、実際に給食の献立を決める「現場」に入り込み、実用性を高めるための地道なチューニング(調整)が続いています。

ベテランの「暗黙知」への挑戦

本市の学校給食では、市内を5つのブロックに分け、物流や調理の都合に合わせて献立の組み合わせ(ブロック編成)を調整しています。このパズルは非常に複雑で、これまでベテランの栄養教諭たちが経験と勘を頼りに作成していました。

今回、システムサーバーは11月7日1月9日に行われた実際の「献立作成会議(ブロック編成会議)」に参加し 、開発中のツールが現場で通用するかどうかの検証を行いました。

ロジックを根本から見直し、再挑戦

開発当初のツールでは、複雑すぎる制約条件(「揚げ物は週3回まで」「カレーとシチューは離す」など )をすべて満たそうとすると、献立が埋まらない「解なし」の状態が発生していました。そこで開発チームは、年明けの会議に向け、プログラムのアルゴリズムを全面的に刷新するという大きな決断を下しました。

新しいアルゴリズムでは、「絶対に守るべき制約」と「できれば守りたいこだわり(似た味付けを避けるなど)」を柔軟に扱えるように改良。その結果、1月の検証ではすべての献立枠を埋めることに成功しました。

会議に参加した栄養教諭の方々からは、「経験の浅い職員にとっては、不備があったとしても素案があるだけで助かる」といった前向きな声が聞かれました。一方で、「ベテランにとっては、手作業の方が早い」「AIに任せて大丈夫か不安」といった率直な意見もありました 。 現在は、こうした現場のフィードバックを受け、単なる自動化ではなく「プロの仕事をサポートする相棒」としての精度を高めるべく、さらなる改良を続けています。

自然相手の難しさと、見えてきた「予兆」

もう一つの柱である「食材価格の予測」も、最初は一筋縄ではいきませんでした。相手は天候に左右される「野菜」です。 当初のモデルでは、人参やキャベツなどの価格変動を捉えきれず、誤差が大きくなる課題がありました。

そこで、野菜の生育期間を一律に固定せず、実際の生育期間データに基づいてパラメータを調整することで予測モデルを改良しました。その結果、例えばニンジンの価格予測誤差を約14.8%から11.9%まで改善することに成功しました。

学校保健課の現場で最も切実なのは、「数ヶ月後に価格が急騰(スパイク)するかどうか」を知ることです。平時の価格を正確に当てること以上に、気象データなどを活用して「高騰の予兆」を検知できるモデルの構築に注力しています。現在は、タマネギやジャガイモなど7品目に対象を広げ、検証を進めています。

今後の展開

本プロジェクトは、システム会社が一方的にツールを提供するのではなく、行政職員と密に連携し、現場の「生の声」を即座に開発にフィードバックする体制で進められています。 3月の成果発表会に向け、献立作成ツールのさらなるブラッシュアップと、価格予測モデルの検証をラストスパートで進めていきます。

Hatch Technology NAGOYAのページでは、引き続き各実証プロジェクトの様子を発信していきます。FacebookXでお知らせしていきますので、フォローよろしくお願いします。