Hatch Technology NAGOYA

技術で実現!駅の案内、もっとスムーズに|実証実験開始に向けた取り組みと課題【活動報告】

Hatch Technology NAGOYA 課題提示型支援事業で進行中の、交通局駅務課とアクセンチュア株式会社による実証プロジェクト「技術で実現!駅の案内、もっとスムーズに」。 前回は、名古屋市営地下鉄栄駅におけるAI案内ロボットの試運転の様子をお伝えしました。

※前回の記事はこちら
ロボットの試運転を行いました【活動報告】

その後、実証実験に向けた開発と運用方法の協議を重ねてまいりました。本レポートでは、公共空間でのロボット運用に向けてプロジェクトチームが直面した課題と、その対応策についてお伝えします。

現状調査に基づくターゲット層の再設定

実証実験の要件定義に先立ち、名古屋市営地下鉄栄駅において10月および11月に「駅員の問い合わせ現状調査」を実施しました。調査を通じて、当初はスマートフォン等で自己解決できると想定していた学生や社会人からの問い合わせが予想以上に多いことが判明しました。また、外国人観光客からの問い合わせは、言語の壁によるコミュニケーションの難しさから、1件あたりの対応負荷(時間)が高い傾向にあることが確認されました。さらに、学生や社会人は「係員が必要な問い合わせ」を判断して質問している傾向があるのに対し、高齢者や外国人は定型的な案内を求める比率が高いことも見えてきました。

これらの調査結果から、ロボットが対応すべきメインターゲットとして、スマートフォン操作に不慣れな層や自身で調べた情報に不安を感じる層が有力であると判断しました。問い合わせ内容が比較的定型でロボットでも対応しやすく、かつ駅員の対応時間を大きく削減できる可能性があるためです。一方で、質問が曖昧で追加ヒアリングが多い層や人への依存が高い層については無理に代替せず、ターゲットを絞り込んで案内機能の要件を定めていきました。

駅でロボットを安全に運用するために

不特定多数のお客さまが絶えず行き交う地下鉄の駅構内で、自走式ロボットを稼働させるにあたり、安全性の確保は最優先かつ最大の課題でした。実用化に向けた検証を進める中で、駅利用者の動線やラッシュ時・イベント開催時の混雑状況の変化など、公共空間特有の様々な変動要素を考慮する必要がありました。

プロジェクトチームでは、各種ガイドラインに基づく安全評価を重ね、ロボットの稼働が駅利用者の通行の妨げやご迷惑とならないよう、複数の運用パターンを慎重に比較検討し、どのような状況下でも確実な安全を担保できる体制を整えました。

現地での試運転を重ねている様子

現場環境に適応するためのシステムとAIの調整

案内業務の中核を担うシステム開発においても、実環境に合わせた想定以上の調整が必要となりました。特に要となる経路案内機能については、外部の交通情報データとのスムーズな連携や、駅利用者が直感的に理解しやすい形での情報提示を実現するために、実装方法の再検討やシステム構成の最適化が図られました。

さらに、AIの対話精度を向上させるための取り組みにも多くの時間が費やされました。駅構内という特有の音響環境(電車の走行音や構内放送など)のなかでも、お客様の声を正確に認識し、自然な速度で応答できるよう、音声対話エンジンの細かなチューニングを繰り返しました。また、地域特有の施設名の略称(「名駅(めいえき=名古屋駅)」など)をロボットに正しく理解させるための学習データの追加や、案内業務とは直接関係のないイレギュラーな質問に対しても不自然にならない応答パターンの設定など、実際の現場での円滑なコミュニケーションを想定した多角的な調整を、実証実験開始の直前まで継続的に実施しました。

次回のレポートでは、実証実験開始の様子をお伝えいたします。

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