わたしたちの生活を支えるインフラの今
近年、水道管や下水管の老朽化による漏水や陥没などの事故が各地で相次いでいます。これらの多くは、設置から数十年が経過した管路の更新が進んでいないことが原因とされています。インフラの老朽化は、生活の安全や都市機能に深刻な影響を及ぼすだけでなく、大規模な地震が発生した際には被害が拡大する恐れもあります。
名古屋市においては、上下水道管の老朽化に起因する事故の未然防止や地震等の大規模災害による被害の低減を図り、お客さまの生活や社会・経済活動を支えるため、経営プランに示された改築・更新及び耐震化を進めています。
上下水道管の設計部門の課題
名古屋市の水道管の総延長は約8,400km、下水管は約7,900kmに及んでおり、毎年、水道管102㎞、下水管45㎞の改築・更新を行っています。
水道管・下水管の更新工事のための設計を行っているのが配水設計課・下水設計課になります。更新の対象となる管が残っている箇所は施工困難な場所が多く、設計積算業務のほか関係者との事前調整や工法検討、変更設計への対応、違算防止のための照査など、多くの時間と労力を要しています。
働き方改革が求められる中、超過勤務時間の縮減を図りながら着実に設計業務を進めるためには、設計業務の効率化を図る必要があります。
最新技術で設計業務の効率化!
今回は設計業務の中でも、照査を中心に設計業務の効率化を目指したいと考えています。照査は、工事の設計図や設計書が現場条件や基準に適合し、技術的に適切であるかどうかを確認するといった業務で、ある程度の知識経験が必要となります。
設計図サンプル
設計書サンプル
設計業務の流れ(イメージ)
※照査は設計図・設計書を作成した設計者とは別の設計者が担当する
これまで過去の設計図・設計書データは工事が終わった後はあまり活用していませんでしたが、見方を変えれば貴重な知見の宝庫です。そこで私たちは、これらのデータをAIに学習させ、設計図や設計書のミスや記載漏れを自動で検出するとともに、膨大な過去の設計データから類似する工事情報を瞬時に提示する仕組みの実現可能性を探って行きたいと考えています。これにより、設計担当者がより効率的かつ正確に判断できるよう支援し、設計の品質を維持しながら照査業務などの時間短縮と職員の負担軽減を目指します。
水道管と下水管で図面や積算方法に多少の違いはありますが、同じシステムを使用していることなどから、今回の取り組みでは水道・下水道一体で進めていきたいと考えています。
みなさまからのご応募を心よりお待ちしております。