
1. プロジェクト概要
本プロジェクトでは、サーマルカメラとAI技術を組み合わせることで、夜間や照明の少ない環境でも効果的に機能する新しい監視システムの開発を目指します。特に、工場やソーラー発電所といった広大な施設における金属盗難などの被害防止に焦点を当てています。
2. プロジェクトの目的
近年、工場やソーラー発電所などの広大な施設での金属盗難が増加しており、効果的な監視体制の構築が急務となっています。しかし、従来の監視カメラシステムでは、夜間の監視に多くの照明を必要とし、電力コストや環境負荷の面で課題がありました。
本プロジェクトでは、光源を必要としないサーマルカメラを活用することで、これらの課題を解決を目指します。さらに、AIによる人物追跡や行動分析技術を組み合わせることで、不審者の早期発見と効果的な警戒体制の確立を目指します。将来的には、性別や年齢の推定、さらには当社独自の人流解析技術を応用した不審者レベルの判定など、より高度な監視システムの実現を目指しています。
3. 実証プロジェクト詳細
本プロジェクトは2024年10月から2025年3月にかけて実施します。実証実験は株式会社アビヅの工場を舞台に、まず工場内の現地調査から開始し、最適なカメラ配置や監視範囲の検討を行います。その後、通常のカメラとサーマルカメラを併設し、数日間にわたる撮影を実施します。
実験では、不審者役のスタッフによる模擬的な盗難シーンも再現し、システムの検知能力を検証します。撮影した映像データを、人物追跡AIモデルによって分析し、移動経路の特定や行動パターンの分析を行います。特に、画角内での追跡成功率70%以上、不審者検知における見逃し0件、誤検知率30%未満という具体的な目標を設定し、システムの性能評価を行います。
開発したシステムは、省エネルギーな監視体制の実現だけでなく、警備員の負担軽減にも貢献することが期待できます。また、本プロジェクトで得られた知見は、他の産業施設やインフラ設備の監視システムへの応用も視野に入れています。