学校の脱炭素化!
子どもたちが学び過ごす環境を快適に!

教育委員会事務局 守山中学校

要点

解決したい課題

エアコンを付けても冷えづらい、暖まらない教室に、断熱などの新技術を適用することで、教室の快適性を上げ、環境負荷や光熱費の財政負担を軽減したい。

実現したい未来

・子ども達が学び過ごす環境の向上
・環境負荷削減

想定する実証実験

守山中学校の一つの教室に実際に新技術を適用し、環境負荷の削減・施工費用・快適性の観点から効果を検証する

得られるもの

・新しい素材、工法、ノウハウを試す機会
・学校を始めとした公共施設のエネルギー効率の向上施策をビジネス展開できる可能性

ストーリー

学校は本当に快適になったのか?

 みなさんは、「最近の学校ってエアコンがあるんだよね?」「子どもたちは暑さ、寒さに悩むことなく、快適に過ごしているんだよね?」とお考えではないでしょうか。

天井にエアコンが埋め込まれた教室

 平成30年に「学校環境衛生基準」が見直され、熱中症対策の一環として、公立小中学校施設への空調設備設置が急速に進められてきました。2022年9月1日現在の設置率は普通教室で約96%、特別教室で約61%、体育館等で約12%となっています。(図2)

…が実は、快適だと言い切れません。
 学校にはエアコンが効きにくい部屋があるのです。

 学校施設は外壁や窓などが断熱されていない建物がほとんどで、省エネルギーの観点では決して性能が良いとは言えません。
 また、築40 年以上で改修する必要がある学校施設の面積は約 5,700 万㎡あり、その老朽化対策が課題となっています。(図1)

 このため、快適で健康的な教育環境づくりと、学校施設の省エネルギー化や再生可能エネルギー設備の導入による ZEB 化 による脱炭素化を図りながら進めていくことが極めて重要だと報告されています。

※ ZEB Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称。 大幅な省エネ性能を実現した上 で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指 した建築物
エアコンが設置されても暑くて寒い教室

 学校は建築基準法により明るさを保つため床面積の5分の1以上の大きな窓が設置されていたり、鉄筋コンクリートの床面が広かったりするため、他公共施設と比較しても断熱性能が低く、特に夏の最上階の教室はなかなか冷えません。また冬は大きな窓のために温まりにくく、気密性が低いため暖房を使っても教室内の温度ムラも大きくなります。このような環境では、生徒の学習にも影響が無いとは言い切れません。

(明るさを確保するために窓を大きくとることが決まっていて、断熱効果性能を下げることに)
明るさを確保するために窓を大きくとることが決まっていて、断熱効果性能を下げることに
電気料金の高騰・・・光熱費をできる限り下げたい

 エアコンの効きが悪い部屋で目標の室温にまで冷房(あるいは暖房)しようとすると、どうしてもエアコンの出力を上げざるをえないので、エネルギーを無駄に使っているような罪悪感に襲われます。加えて昨今の電気代の高騰です。光熱費がかさんでしまうことも悩みの一つです。

新しい断熱技術の実証

 もちろん、従来からある素材や工法を使って断熱工事を施せば、ある程度効果があることは期待されるのですが、それには多くの費用や時間、手続きが必要です。できるだけ費用を押さえて、あるいは、従来よりも人手や時間が掛からない方法で、断熱工事を行うことはできないものでしょうか。

生徒が学びやすく、過ごしやすい環境を作りたい!

 新しい断熱素材を開発中の方、製造方法や材料の形状の工夫などでリーズナブルな価格で工事を請け負っていただける方、教室内の温度ムラをなくす工夫、断熱効果を保ったまま換気をする方法など、どんなアイデアでも結構です。断熱コストを下げる新しい技術・方法をお持ちの方は、ぜひ一緒に「学びやすく過ごしやすい教室」をつくっていただけないでしょうか。

 守山中学校での試みが成功して、名古屋市全体に、あるいは全国にまで広がっていけば嬉しいです。
 たくさんのご提案ご応募をお待ちしております。

募集要項

背景学校施設の76%は築40年を超えており、暑さ寒さへの対応は不十分です。平成30年には「学校環境衛生基準」が見直され、熱中症対策などの一環として、現在、エアコンの設置が進んでいます。
課題(詳細)エアコンは順次設置されているが、学校施設は構造上、夏の最上階(教室)は屋上から熱の影響を大きく受け、冷房が効きにくく、冬は窓が大きいため暖房が効きにくい。教室内の温度ムラも大きい。予算も限られる中、冷暖房の効率を上げる方法が求められる。
求める解決策悪条件下にある教室の冷暖房の効率向上に効果のある
・新しい断熱素材
・新しい工法
・温室環境の可視化
・環境品質と環境負荷の評価法
・その他、冷暖房効率の向上に資する新技術やノウハウなど
想定する実証実験内容断熱効果と費用について、以下の条件間で比較を行いたい
1)現在の断熱効果・費用(測定値または推定値)
2)実証する新素材・工法による効果・費用(測定値)
3)従来の素材・工法による効果・費用(予想値)
また、児童・生徒の快適さや学習環境の向上に寄与しているかも効果を検証できるとなおよい。
実証実験成功後の発展性・児童・生徒の快適性、健康、学習環境の向上
・脱炭素化(温暖化対策)の啓発
・行政が進める公共建築物の断熱改修への広がり
提案企業に求める専門性・断熱施工技術(工務店、設計事務所など)
・温度等測定技術
プロジェクトの進め方
打合せ方法
・適宜、オンラインによる打合せを行う
・必要に応じて現地の状況確認・視察なども可能
提供可能な
データ・環境等
・最上階西(旧コンピューター室)教室を始めとした学校施設
・電気ガス使用量(系統別)
プログラム終了後の本格導入・効果実証により学校施設課の検討課題となる可能性
・学校間の情報共有によりひろがる可能性

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