2022年PJ報告No4.地下鉄の人流データの解析 &地域での流動把握の社会実証

実証事業者:名古屋大学 工学部/工学研究科 河口研究室
フィールド:名古屋市営地下鉄

実証実験の目的とゴール

この実証実験はWiFiパケットセンサを利用して、地下鉄の人流データの解析し、地域での流動把握を行うことを目的とした実証実験です。

これまで、WiFiパケットセンサを利用した実証実験として、東山動植物園内に30台以上を設置し、各センサで検知した情報から園内での移動を分析し、潜在的な需要を推定し、必要なサービスを職員に通知する実証実験を行なっていますが、今回の実証実験ではより広域の人流の計測、利活用、データ連携を目指します。

実証実験の概要

名古屋駅に3カ所、名古屋市営地下鉄東山公園駅と藤が丘駅に各1カ所、WiFiパケットセンサを設置し、1日約170万レコード、50GBからのデータを蓄積し、分析を行います。

実証実験の成果と課題

ゴールデンウィークやお盆などのいくつかの社会的なイベントを観測し人流の季節性の把握を行いました。

OD分析として名古屋駅、東山公園駅、藤が丘駅の関係性を観測しましたが、3駅のみの設置による網羅生の限界や、限られたサンプリングでの独自の視点での解析の難しさという課題もありました。

また、スマホGPSデータから名古屋市の各エリアがどのように人々に利用されているかの地域特性分析を行い、各エリアのクラスタリング、可視化を行い使われ方のみから、オフィス街なのか住宅地なのかなどのエリアの意味的表現を獲得しました。

その結果、名古屋駅東側では2019年から2020年ではオフィス街と駅周辺の滞在の違いが小さくなり、ほぼ単一のクラスタに人の移動が少なくなり、各エリアの特徴が薄れていることがわかりました。

その他に、

・インバウンド訪問者分析・結果提供

・園内の感染影響行動と人流との関係分析

・名古屋大学の学部3年生の実験の教材として採用

などの成果がありました。

地域特性変化の分析結果については2023年3月現在は分析中です。

今後の展開

他のビッグデータ分析と掛け合せることによる独自の価値の追求へピボットすることと、地域特性変化に対しての地下鉄交通網の価値分析や様々な提言などへつなげたいです。