【実証レポート】地域活動をアップデート!デジタル技術を活用し、持続可能なコミュニティを実現したい!

実施者

(1)実証事業者 株式会社スピード
(2)市担当部署 スポーツ市民局地域振興課

プロジェクトの概要

 現在、町内会などの地域団体においては、地域活動の担い手不足や活動の停滞などが課題となっており、今後は、デジタル技術を取り入れて負担軽減を行うなど、若い世代も地域活動に参加しやすい環境にしていく必要があります。

 今回の実証では、地域活動におけるデジタル技術の活用を進めるため、幅広い世代の方々が簡単に操作できる「デジタルコミュニケーションツール」を開発しました。それを活用した地域イベントの開催を通じて、リアルな地域活動の中に自然な形でデジタル技術を取り入れることで、地域コミュニティを活性化(多世代での交流など)できるかを検証しました。

地域イベント「CG花火大会」開催に至る経緯と狙い

デジタル技術の活用に対するヒアリング

 市内の4学区にご協力をいただき、デジタル活用に関するヒアリングを実施しました。

 その結果、地域活動は高齢の役員が中心的な役割を担っていることから、デジタルに不慣れな方も多く、昔ながらのアナログな方法から切り替えることが難しいとの意見がある一方で、子ども会やPTAは活動でLINEを使った連絡などデジタル技術を活用しており、ヒアリングを通じて地域活動の担い手であるメンバーの各世代間に、デジタル技術の活用度合いのギャップがあることが判明しました。幅広い世代が参加する地域活動へのデジタル技術の活用にあたっては、機能がシンプルなツールにする方が受け入れやすいという考えに至りました。

地域へのヒアリング

地域イベント「CG花火大会」の企画

 ヒアリング結果を踏まえ、今回の社会実証では、どの世代の参加者もデジタルを介して楽しむことができる、地域イベント「CG花火大会」を企画しました。開催に向けて、あえて機能を絞ったシンプルな「デジタルコミュニケーションツール」を開発し、イベントの準備やイベント当日に活用いただきました。

 このツールを通して、どの世代でも分け隔てなくデジタル技術を活用できるか、デジタル技術を活用することで幅広い世代が参加するイベントとなるか検証しました。

「CG花火大会」の実施

 2月19日(日)名古屋市立御器所小学校の体育館で、御器所学区連絡協議会、名古屋市立御器所小学校の協力のもと、「CG花火大会」を開催しました。

使用した技術

(1)データ収集や投票などのシンプルな機能とゲーム要素を組み込んだ、地域活動に
活用できる「デジタルコミュニケーションツール」

 誰でも使えるシンプルな機能のデジタルコミュニケーションツールを開発し、CG花火大会用のイラストを住民から収集する際に使用しました。コミュニケーションツールを活用することにより、合計126枚ものイラストが集まりました。また、当日のCG花火大会では、同ツールの投票機能により、どのチームのイラストが好評かをリアルタイムで表示しました。

<特徴①> シンプルな機能で使い勝手を高める工夫

 ウェブサイトや電子回覧板などの運用に苦慮する地域の現状を踏まえ、デジタルコミュニケーションツールは出来るだけシンプルな機能とすることを目指しました。CG花火大会のイラスト収集は、手書きの絵を写真に撮ってアップロードするだけで完了します。

<特徴②> 親しみやすいデザインで地域活動を可視化

 地域活動の活性化を意識し親しみやすいデザインを採用しました。リアルタイムで可視化されるイラストの応募状況に対し、各チームの代表者がキャラクターを用いて応援コメントを発することができます。

<特徴③> 汎用的に地域のコミュニケーションに活用できる

 今回のようなデジタルツールを利用することで、地域で実施される様々な活動や、回覧板閲覧、情報共有、イベントにおける「〇〇募集」「〇〇への投票」などに活用でき、若い世代が関わる機会を増やすことで、幅広い世代が活用し、地域活動活性化に繋げることが期待できます。

(2)地域住民から収集したイラストをCG花火で打ち上げるデジタルアート技術、プロジェクションマッピング技術

 プロジェクションマッピングとは、プロジェクタなどの機器を使用して、壁面などに映像を投影し特殊な視覚効果を与える技術です。今回、小学校の体育館の天井や壁などを夜空に見立てて、実際に花火が打ち上がっているかのような視覚効果を得ることが出来ます。

CG花火のイメージ

CG花火大会当日のようす

 CG花火大会当日には、町内会スタッフ23名を含む合計460人もの市民の方が参加してくださいました。イベント参加後のアンケートでは、イベントの満足度も80%以上と高かったほか、地域でのデジタル活用への意欲が高まる結果となり、地域におけるデジタル活用の可能性を感じました。

 イベントには高齢の方も参加していましたが、花火大会の参加者投票には、240名以上の方が投票してくださいました。今後も地域活動をより活性化することや、負担を軽減するためのデジタル活用の道を模索していきます。

体育館はいっぱいに。スマホでCG花火を撮影する方も多数いらっしゃいました。
投票結果を見る参加者たち
アンケート回答する参加者
アンケート回答する参加者